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  3. 攻玉社中学校・高等学校 校長 岡田 貴之

自らの担当教科を極め、その楽しさを伝えられるように

攻玉社中学校・高等学校 校長 岡田 貴之 先生

「どうしても教員になりたい!」という熱意が持てるか

私自身が教員を目指した理由はいくつかありますが、一つ挙げるとすれば、中学のころに出会った恩師の影響でしょう。女性の英語教諭で、定年後にニュージーランドへ留学するような、とてもパワフルな先生です。これから教員を志すみなさんには、自分の専門性に対して、こうしたあくなき情熱や成長意欲を持てる人であってほしいと思います。

もちろん、個人の向き不向きもあるでしょう。人間相手の仕事ですので、適性がなければ辛い仕事です。ですから、まずは「どうしても教員になりたい!」という強い気持ちがあるかどうかを、自分に問いかけてみてください。

特に私学の場合は異動がありませんから、その学校の建学の精神に共感できるかも大事になってくるでしょう。本校のそれは、詩経(中国最古の詩集)の中にある「他山の石以て玉を攻(おさ)むべし」に由来し、それがそのまま校名にもなっています。「多様な個性が集まって、切磋琢磨しなさい」という意味です。創立は古く1863年。慶應義塾や同人社と共に三大義塾の一つに並び称され、現在は中高一貫の進学校として認知されています。

学校選びの基準が、大学進学実績だけの時代ではない

本校の生徒たちはやはり学力の高い層ですから、教員に求めるものは、まずは教科指導が第一になります。逆にそれができなければ、生徒の信頼を得ることができないと言ってもよいでしょう。だからこそ、自分の専門性(教科)への情熱を持ってほしいということです。自己研鑽が積めて、それを生徒に還元できる人に期待したいですね。

一方で、保護者が学校に求めるものは様変わりしてきたように感じます。以前のように、学校選びの基準が、大学進学実績一辺倒ではなくなってきました。未来予測が困難なこの時代にあって、社会を生き抜く力をどのように、どれだけ身につけることができるのか。そのためにどのような教育を実践しているのかも重視される傾向にあるようです。このように保護者のニーズを汲み取り、共感できる力も教員には欠かせません。子どもを一緒に育てていく“同志”としての関係を、どれだけ築けるかがカギだと思います。

情熱を持って、教科そのものの楽しさに気付かせてあげるような指導を

したがって、私は教員たちに繰り返し伝えています。「従来のような、知識だけを身につけるような指導にならないようにしてください」と。以前の教育観では早く正解にたどりつく力、すなわち処理能力が重視されてきました。しかし、いま求められるのは問題の本質を理解する力、すなわち「問題発見能力」「問題解決能力」ではないでしょうか。

そのような子どもたちを育むためには、教員も変わらなくてはいけません。クリティカルに前提を疑う力や、生徒の知的好奇心を引き出す力が必要です。本来、子どもたちは「知りたい」という根源的な気持ちを必ず持っています。つまり、単に知識を詰め込むことではなく、教科そのものの楽しさに気付かせてあげてほしい。だからこそ、繰り返しになりますが、自身が担当する教科への熱い情熱が必要なのです。

本校の教員たちは、さまざまに授業の工夫を凝らしています。例えば理科では、実験が非常に多いことが特徴です。しかも、結果ありきのものではない、失敗する可能性の高い実験もよく行っています。そこが生徒の興味や意欲を刺激するのでしょう。「なぜうまくいかないのか(うまくいったのか)」を知ろうとする、問題発見・解決能力へとつながっていきます。

私は英語の教員ですが、現在も一部の授業を受け持っています。その際も、常に生徒と対話しながら進めるような授業を意識しています。そのおかげか、放課後はいつも生徒たちが質問などで訪ねてきてくれて、校長室が寺子屋状態になりますね(笑)。

本校の生徒たちは学業に対する潜在能力は高いので、伸びるかどうかはきっかけ一つなんです。こうした授業の工夫もそうですし、普段のコミュニケーションにおいても「自分を気にかけてくれている」と生徒たちが実感できることが大事です。単なる知識や情報だけならインターネット上で誰でも得られる時代だからこそ、このような人間力が教員に求められる力だと感じます。

1時間の授業のために、その何倍もの時間をかけて準備する喜び

教員という仕事の魅力は、やはり“授業”で勝負できるところ。専門性を極めて活かすことができます。しかし誤解を恐れず言うなら、生徒の現有学力が低い場合、どうしてもそこを二の次にせざるを得ない部分もあります。まずは生活指導や学習への向き合い方から指導しなければいけないからです。

その点、本校の生徒たちはすでに「打てば響く」状態にある子たちです。純粋に学問や教養を伝えられる喜びを感じられるのが、教壇に立つ醍醐味の一つでしょう。週にたった1時間しかない授業のために、その何倍もの時間をかけて準備をする……それが楽しいと思えるなら、教職に強いやりがいを感じられるはずです。

(このインタビューは2022年12月に行いました。)

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