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第11回①「しなやかな心」(レジリエンス) の高め方[STC研修レポート2022]

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自分自身の困難に柔軟に対応する力は、社会で生きていくためには欠かせませんしかし今、大学生、あるいは社会人になっても困難を乗り越える力が足りず、行き詰ってしまう大人も増えています。学校現場で心の育ちをサポートするためには、どんな取り組みが可能でしょうか。講師は日本レジリエンスエデュケーション協会山本千香子氏です。児童生徒の心の発達を理解しながら、発達段階に応じた声かけや授業展開を考えていきます。 

■研修講師

講師: 山本 千香子 氏 

日本レジリエンスエデュケーション協会 代表理事 

 

レジリエンスの理解 

変化の激しい現代の社会。子どもたちがしっかりと自分の足で立ち、自立て生きていくためには、自分自身の逆境や試練に向き合い、立ち直ることのできる心=「レジリエンス」が必要です。回復力、柔軟性、適応力と呼ばれるこの力について、学校教育の中ではどんな育みをしていけばよいでしょうか。 

講師は一般社団法人日本レジリエンスエデュケーション協会の山本千香子氏です。一般企業で11年間人事採用に関わってきたのちに大学講師、小中学校のカウンセラーを務めた山本氏。その中で、心の育みは社会人や大学生になってからでは遅いと実感したそうです。今回は学校現場ですぐに取り入れられるレジリエンス授業の具体例も交え、実践的な講義を行ってもらいました。 

まずは、グループで自己紹介をしあい、今回の講習で知りたいこと、学びたいことを共有しました。その後、山本氏から、人によってレジリエンスは違うという説明がありました。レジリエンスは、大きな逆境を乗り越える力ということではなく、子どもたちが小さなピンチを乗り越える力も指しています。そして立ち直った経験があれば、さらに子どもたちは成長できます。 

ここで、「レジリエンスの高い人」を具体的に挙げる個人ワークに取り組み、その後、内容をグループ内で共有しました。スポーツ選手や芸能人、歴史上の人物など、様々な名前が挙げられていました。中学生くらいまでは、アニメの登場人物なども生徒たちには身近な例として活用できます。 

再び山本氏の講義に戻ります。レジリエンスの3つの特徴は、①誰もが持っている生きる力 ②レジリエンスは多様で個人差もある ③経験や知識によって何歳からでも学習可能な能力である、との説明があります。しかし、できるだけ小中校の中で磨くべき力だ、と山本氏は指摘します。学校生活の中で生徒のレジリエンスを伸ばしておくことが、人生において大切な軸になるからです。レジリエンスを支える5つの力は、「自尊心」「感情調節」「自己効力感」「楽観性」「人間関係」だと山本氏は挙げます。これらは鍛えていく、磨いていくことができる力です。 

さらに、これらの5つの力は、逆境を与えたり、ストレス耐性をあげたり、叱ることで高めようとするのでなく、日常の中で高めていくことが大切だということが強調されました。

 

生徒・児童の発達段階とレジリエンス 

ここで、発達心理学の簡単な説明がありました。子どもの成長段階を10段階に分け、その中で「心の宿題」の積み残しがないか考えていきます。その後、それぞれの時期の心の宿題について、順を追って説明がありました。小学生時代=学童期は学校生活が開始し、自己への気づき、人との比較などの気持ちが芽生えてきます。積極的に学びたい、やってみたい。学びたいなどの心の宿題があり、この宿題をやっていくうちにレジリエンスが高まっていきます。 

中学校・高校時代=思春期は第2次性徴の発現、親離れ、同性に対する親愛感、異性への関心が高まります。自分のことを第一に考えるようになり、それによって未来を夢見る気持ちも芽生えます。 

それぞれの時期に心の宿題を積み残していると、大人になってから本人が悩んでしまうこともあります。山本氏の体験した事例の中では、小さい頃から親の決断に従っていた優等生で、就職活動の時期になっても自発性が育っておらず、行き詰る学生もいたそうです。個人面談の際に「心の宿題」チェックリストを確認してみることも、指導の参考になる、と山本氏。発達心理学の視点をもつことで、生徒の気持ちに寄り添ったサポートができるといいます。 

 

レジリエンスの高め方 

では、実際にどうレジリエンスを高めていけばよいでしょうか。ここで、生徒たちの5つのレジリエンス(「自尊心」「感情調節」「自己効力感」「楽観性」「人間関係」)を高めるために、参加者が学校の中で具体的に取り組んでいることを、グループワークで話し合いました。学校行事の中でどういった取り組みをしているか、どんな声かけやサポートをしているかが、各グループでシェアされました。 

 グループワーク後、山本氏から、「先生方が意識せずに普段の活動で行っていることが、実は生徒たちのレジリエンスを高めていることもある」という説明がありました。たとえば部活動や行事の中でも、生徒のレジリエンスは高まります。 

 そこで、より意識して取り組みを行うため、普段の活動が、5つの力のどこに作用しているかをワークシートに記入。そのうえで、どんな力を特に高めたいか、そのために何をしていきたいかをグループでシェアしました。さらに、生徒のレジリエンスを高める3つの観点「個別の関わり」「集団への関わり」「グループ支援」が紹介され、それぞれどんな注意点があるかが説明されました。 

 最後に、実際にレジリエンス授業をやるとしたら、どう組み立てるか?をワークシートに書き込みました。それぞれの参加者が考えるレジリエンス授業を書き込みます。個人ワークのあとは山本氏が考案するレジリエンス授業が紹介されました。 

 

レジリエンス授業の実践例と振り返り 

さらに、山本氏が取り組んだ『学園祭に向けて強いクラスを作る』『楽観性を高めよう』という2種類の授業について、事例が紹介されました。生徒への声かけなどを含め、どんな風に授業をサポートしていくかのアドバイスがあり、授業後の生徒たちの感想も紹介されました。また、レジリエンスの5つの力を使った事例の資料が参加者に配布されました。最後は山本氏の「子どもたちの身近な例である大人たち自身がレジリエントに生きていくことが大切ではないか」という言葉で、研修が締めくくられまた。 振り返りでは、「自分がやっていることがレジリエンスを高めることだったと気づいて驚いた」「普段から何気なく感じていたことを5つの力として認識したことで、さらに人間力を高められると感じた」など、新たな気づきの感想が多く見られました。また、学校での様々なシーンでレジリエンスを育成できることがわかり、参加者自身が今まで取り組んでいたことに自信をもち、より高めていく意欲をもつことができたようです。 

ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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