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第2回:初任者研修【春】②子どものやる気を引き出す丁寧なコミュニケーション[STC研修レポート2023]

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今年度で11年目を迎えるSTC研修の初年度から講師を務める川合正先生。中学・高校・大学で教鞭を取った豊かな経験から得た実践的コミュニケーション対応術をご指南いただきました。グループワークを通してさまざまな対話術を体験することで、日々の子どもたちとの対話を振り返り、より良いコミュニケーションを学びます。 

■研修講師

講師: 川合  

東洋大学京北幼稚園 

 

生徒の話したいことを引き出す「チェーンインタビュー」 

家庭環境の多様化やSNSなどの発達により、学校教育を取り巻く環境や生徒が抱える課題は、日々複雑化しています。生徒対応におけるコミュニケーションの難しさは、日々の学校生活の中で、多くの先生方が感じられているのではないでしょうか。初任者研修の第2回では、生徒のやる気を引き出し、信頼関係を築くための実践的な対応術を、多彩なグループワークやロールプレイを通して体得していきます。 

講師は、中学・高校・大学とさまざまな教育現場を経験し、現在は東洋大学京北幼稚園で園長を務める川合正先生です。 

まずは生徒との会話の基本として、「履歴書的インタビューとチェーンインタビュー」についての解説がありました。生徒が相談してくると、教師は自分が知りたいことを質問しがちです。ですが、生徒と会話する時は情報を聞き出す「履歴書的インタビュー」ではなく、相手の言葉からヒントを見つけて、それをつなげて返答し、相手が話したいことを引き出す「チェーンインタビュー」で会話をするべきだと川合先生は強調しました。 

次に、グループワークで子供の行動に介入する際の留意点について考えます。危機介入、SOS発信など6つをテーマに、介入時に大切にしていることを4名ずつのグループで話し合い、教育現場での実際の事例を取り上げながら発表しました。 

川合先生は各グループの発表を講評し、事例について仔細に質問しながら解説していきます。受講者から「生徒から悩み事を打ち明けられた時、『誰にも言わないで』と言われることがある」との声が上がりました。川合先生は、「先生は教師だからそれはできない。ほかの先生と協力し合って君のことを守らなきゃいけない」と生徒に伝え、一人で抱えないことが大切だと強調します。そして、信頼関係を失わないために、どの先生であれば話していいのか、生徒が納得するまで相談し合うべきだと付け加え、受講者は真剣に聞き入っていました。 

 

YouメッセージIメッセージ 

次には「怒る」と「叱る」の違いについて、感情にまかせて批判的に怒る「ブラックエンジン」と、理性的で愛情をもって叱る「ホワイトエンジン」の違いを解説。感情的に怒るのではなく、常に見守っていることを伝え、生徒のために相手を認めながら理性的に叱ることが重要だと川合先生は述べました。 

生徒との信頼関係についてのチェックシートに取り組んだ後、次は母親の立場から、遅い時間に帰宅した娘にどう声掛けするかをテーマに、「YouメッセージとIメッセージ」について考えました。受講者はどんな言葉をかけるかをワークシートに書き込み、その後、グループでディスカッション、代表者が発表します。川合先生は一つひとつの発表を講評し、改善点や良い点を解説します。その中でポイントとなったのが、相手の欠点を指摘する「Youメッセージ」でなく、「お母さんは悲しい」など、自分の気持ちを伝える「Iメッセージ」を意識することが大切だと説明しました。 

 

カウンセリング的アプローチと未来を切り拓くダイアローグ 

次は、「学校に行くのが嫌だ」と相談してきた生徒に対し、どのような言葉をかけるべきかをテーマに、グループワークを行いました。4人グループで生徒と教師の会話を想定し、1枚のワークシートを完成して発表。川合先生がフィードバックを行いました。 

川合先生は、さまざまな事例を踏まえ、生徒からの相談には、「〝共感〟を示し、質問を持ち込まないこと」だと話し、チェーンインタビューで話したいことを引き出す、教師が結論を出さずに生徒に寄り添うなどカウンセリングの受容的アプローチを紹介し、その効果を解説しました。 

このほか、生徒のやる気を引き出す「ペップトーク」についても解説。生徒が緊張していたら、教師はその緊張に寄り添い、勇気を持たせるために、これまでの努力や仲間がいることを気づかせる役割を担うことが大切だと語りました。 

次に、今、最も必要とされている「未来を切り拓く対話」として、「ダイアローグ」について説明されました。ダイアローグは、自己を客観的に見つめ、相手の誤りを感じても一旦判断を保留し、相手の話を傾聴するプロセスです。これにより、相手の考えや結論の背後にある理由や事情を理解し、関係性や変化の可能性が生まれます。 

「これまで教育の現場ではディベートが重要視されてきましたが、ディベートは相手を打ち負かすことを目指した論争です。異なる意見を持つ人を、「考えが違う」と突き放してしまうと、成長や進展は期待できません。しかし、ダイアローグで建設的な対話ができれば、未来を切り拓く可能性が広がります」と川合先生は言います。 

 

ロールプレイで無関心・傲慢な聞き方と傾聴を体験 

次に、2人組になり、生徒の相談にのる態度を点検するロールプレイを行いました。最初に、「無関心」な態度(スマホをいじる、相手を見ない)、「傲慢」な態度(足や腕を組む、話を途中で遮る)のロールプレイを実践。すると、「辛い気持ちになった」「腹が立ってきた」といった声が次々と上がります。次に「自分なりのきき方」を行った後、「傾聴レベルⅠ」(相手の目を見る、笑顔、あいづちをうつ、身を乗り出す)を実践。「いつまでも話していたくなる」「気持ちを話したくなる」と感嘆の声が挙がり会場は大いに盛り上がりました。 

最後にアメリカの哲学者・ジョン・デューイの考え方などを紹介し、まとめの言葉とともに研修は終了しました 

研修後の振り返りでは、「どのような姿勢で向き合えばよいのか、ヒントを得たので実践で使えるように活かしたい」「グループワークが多く、とても良い学びになった」チェーンインタビュー、ダイアローグは実際に生徒とのコミュニケーションの時に活用したい」まずは寄り添うこと、共感することが大切であると学んだ」など、教育現場で活用したいという声が多数あり、受講者にとって実りの多い研修となりました。 

ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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