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  3. 東京立正中学校・高等学校 校長 梅沢 辰也

目の前の相手のために人生をかける。教師は最高の職業です。

東京立正中学校・高等学校 校長 梅沢辰也先生
東京立正中学校・高等学校 校長 梅沢 辰也 先生

ノーチャイムは「命=時間」を大切にするためのもの

本校の教育の特徴の一つが「ノーチャイム」です。以前はチャイムがあったのですが、私が赴任した時にチャイムをなくしました。このことは、本校の教育理念「生命の尊重、慈悲・平和」にもかかわっています。

私は時間というのは命の単位だと思っています。余命や寿命の話題でもなければ、命という感覚はなかなか実感できません。生徒に「何分」と言っても、命という感覚はないでしょう。しかし、その「何分」の積み重ねが、命になっていく。そう考えると、自分の大切な命、一緒に生きているクラスメートや先生たちの命、これを「チャイム」という合図に反応するだけで重ねていいのか。大切な時間を、意志のあるものにしてもらいたいと考えています。

導入初年度はとまどいも見えましたが、生徒が慣れるのは早いですね。移動教室への移動も以前から出来ていたとは思いますが、よりスムーズになったと思います。

若い先生がリーダーになって進めたSDGs教育

本校でのSDGsの取り組みは、高校にイノベーションコースが設定された4年前に始まりました。当時はどちらかというと「グローバル」という言葉が冠につくような活動でした。しかし、研修先がカンボジアだったこともあり、SDGsを意識するようになりました。校内にもノウハウがなかったので、外部の団体にSDGs教育の導入をお手伝いしてもらったのですが、これがとてもよかったのです。私は2年目からかかわったのですが、よいことをやっているのに、校内では担当の先生以外誰も知らない。まず、内側から広げていかなきゃダメだということで、担当の先生に自分たちがどういうことをやっているかを、職員会議でプレゼンさせていくようにしました。

すると、「そういえば中学で今やっていることはSDGsのくくりではないか?」とか、「学校の委員会活動も含まれるのでは?」という議論が出てきて、「我が校の活動をSDGsの観点で考えよう」という流れになりました。そこで、イノベーションコース一期生を卒業させた先生に、「最低3年は担任をあきらめてください」とお願いして、生徒会活動のリーダーになってもらったのです。まだ30歳の若い先生ですが、幹部会議にも出席して、SDGs的な活動を、校内の様々な組織に広めていく取り組みをしています。その1つとして、この秋には大分大学の先生によるSDGsワークショップを中学全体で開催しました。

それ以外にも、寺子屋や子ども食堂の活動もやっています。先日は、この地域のご高齢の方に地域が抱えている困りごとをヒヤリングしました。これらの活動はSDGs委員会がとりまとめ、生徒会の課外活動として行ったり、学年団で行ったりと、様々な形で実施しています。きっかけは作りましたが、あとは自然発生的に活動しています。寺子屋も小学生に勉強を教える活動が楽しいようで、生徒たちが「子どもたちにまた来てと言われたから」と、自主的に行っているようです。

伝統と新しいアイデアが両立する職場

本校は今年で創立96年目を迎える学校です。やはり年上の先生方は、今まで守ってきた大切なことが崩れないように、伝統を重んじることに注力されています。ひょっとすると生徒から見れば堅苦しく、今どきとは違うのかもしれません。ですが、もう少し長い時間軸で見れば、高校を卒業するくらいまでに、形のあるものを意識することは、あったほうがいいのではないかと思います。

若い先生方には「今の時代とは違うんじゃないですか?」という意見もあると思います。それを変えていこうとするのであれば、「そんなのおかしい」と文句を言うのではなくて、正式に「変えていきませんか?」というアクションを起こしていけばいい。ただ、いいことがいいことだと伝わるようにするには、どういう風に話すとか、どのタイミングでお知らせするとか、協力を願うかということは、ちゃんと配慮しながらやっていかないといけないよとは話しています。

教師の仕事は相手ありき。貪欲に向上してほしい

世の中で「何々になりたい」と思って、実際になれる人は限られています。仕事に就いた中で自分の「なりたい」「したい」を見つけていくのが普通です。でも、教師は「教師になりたい」と思った人が就いている職業だと思います。ただ、それで完結せず、その先にどうしていきたいかに貪欲であってほしいと思います。やはり、一番は授業です。よりよい授業を作るということに貪欲であってほしいですね。

私自身の教育観は、相手ありきということ。相手があって初めて先生がいるわけで、「自分は先生だ」と言ったところで、教えを受ける人がいなければ成立しません。その相手をどのように尊重しているのか、どうしてあげたいのか。この子の生涯に私がかかわる3年間なり6年間がどうあるべきか?ということです。それを表現するのが、教科担当としての自分だったり、担任としての自分だったり、顧問としての自分だったり、ということだと思います。

教師は素晴らしい仕事です。なぜかというと、やはり自分のためだけにという動機は弱いんです。オリンピック選手にも、「自分のためにだったら勝てなかった」という発言が多いですよね。誰かのために、何かのためにというのが最も大きなエネルギーを生み出します。それが達成できるなんて、本当にこんな幸せなことはありません。また、自分が誰のためにやっているかわからないと悲しいですが、教師はまさに、そのことがはっきりしている仕事です。だから、卒業生が帰ってくるというのが先生方にとっても至福の喜びです。育てた生徒が、成長を見せに来てくれる。こんな最高の仕事はないと思います。

(このインタビューは2021年10月に行いました。)

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