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教師とは発見し、学び続ける職業

淑徳大学人文学部准教授 田中洋平先生

淑徳大学 人文学部 歴史学科 准教授  田中洋平先生

非常勤講師を含め、私立学校で約10年間教壇に立つ。
その後、淑徳大学に移り、教職課程の指導も担当。
勉強会「師道塾」を主宰し、教師を目指す学生たちをサポートしている。

教師の仕事:ベースは授業

非常勤時代を含めて約10年、私立高校の教員をしていました。お恥ずかしい話ですが、大学時代は教員になろうと思って教職課程を取っていたわけではなくて、今まで受けてきた自分の教育を見極めたいという気持ちで学んでいました。18、19歳の生意気な時代です。そして、大学院時代にたまたま高校で教えることになりました。

ところが、実際に教えてみると、この仕事が天職だと思えるようになりました。もちろん目の前の子どもたちが変わっていくのも面白いのですが、それ以上に自分の授業が変わっていく、成長していくことに面白さを感じました。教えることによって、私の歴史に対する理解や深さが増して、そのことで生徒たちの反応が変わってきたという手ごたえもありました。

高校で10年間教えたあと本学に移り、教職課程の学生たちを指導しています。独自の取り組みとして、着任した年から「師道塾」という任意の勉強会を、教職を志望する学生たちを集めて週に1回実施しています。ここでは模擬授業を通して、学生たちに授業の力をつけてもらっています。

教員時代に教育実習生の指導も担当していたのですが、かなり優秀な学生たちが来ているのにまるで授業にならない、ということがよくありました。なぜかというと、教職課程の中では授業を体験する機会が圧倒的に少ないんです。そこをなんとかしたいと思いました。

教師の仕事は進路指導や生徒指導、部活指導など多岐にわたります。しかし、まずはベースとしてきちんと授業ができることが第一歩です。授業をする力、つまり授業力を高めるには、実際に授業をしていくしかありません。

模擬授業を繰り返す中で「授業力」を身に着けていく

「師道塾」では、毎回ローテーションで、学生たちに授業をやってもらいます。見ているのも学生です。そして、お互いフィードバックをする。これを1年の後期から3年まで繰り返します。任意の勉強会でゼミでもありませんから、単位にはなりません。それでも教職課程を取っている学生の半分が参加してくれています。

面白いのは、「師道塾」をやっていると、学生たちが自分たちで学び始めることです。私の専門が日本史なので、「師道塾」では日本史に特化した授業をやっているのですが、学生たちが勝手に「別の日は世界史をやろう」「地理をやろう」と広げていってくれました。日本史以外の時間は講義があるので、私は参加していません。学生たちがお互いを評価し合っています。一つの学びが次の主体的な学びにつながっていることを実感します。

学生たちは今までインプットする側だったと思います。教師になると、今度は吸収しながらアウトプットしなければいけない。アウトプットする時には、インプットするだけでは、もしくはインプットした知識だけではまったく使えないということに気づくのではないかと思います。私自身がそうでしたから。

アウトプットには、原子核のようにバラバラのものを1つのパッケージにする作業が必要になります。授業の中で色々なものを子どもたちに投げても、子どもたちは飲みこみきれなくなるんです。ですから、飲みこみやすいパッケージにしたうえで、子どもたちに提示してあげる。そのためには、知識として教科を知っているだけではもちろんダメで、教えるための準備が必要です。準備ができていないまま授業をしてしまうと、それは間違いなく授業に表れてしまいます。

A、B、C、Dという知識をどうやって1つのストーリーにしてパッケージ化していくか。用語を頭の中に入れるだけでよかった高校生の時とは、まるで違う能力を求められます。それをきちんと身に着けて教育実習に行ってほしい、教員になってほしいと思います。

教師に求められているものは寺子屋時代から変わらない

私自身高校で教員をやっていた時も、今大学で講義をしている時も、授業の中で「この学生はちょっと寝不足だな」「今日、何かあったのかな」ということを、よく見ています。教科の内容を教えることも大事ですが、授業でのかかわりの中でどれだけ子どもたちを観察できるかを問われているという点は、きっと寺子屋の時代から変わりません。そのことが、どの時代にも、教師には求められていると思っています。


教師をずっとやっていくと、最後の方は自分がそれまでにやってきた型をなかなか破れなくなります。そうすると、授業もスタイル化してしまう。改善点や成長できる部分を発見する能力が枯れてしまったら、教師はただ惰性で仕事をして、お金をもらって生活していく職業になってしまいます。発見することも、気づくことや学ぶことも能力ですから、大学ではこれらの力を身につけて欲しいと思っています。

学ぶことを面白く思うことができる人なら、きっと教えることもできるはずです。最初から授業が上手だ、教えるのが得意だという人は誰一人いません。例えば医学部の大学1年生が「自分は手術が苦手だ」と言ったらおかしいですよね。大学生活6年間の中で手術の技術や知識を身に着けていくのですから。教職課程における授業力もまさに同じで、自分がどれだけその能力を身に着けられるかが勝負です。人生を賭けて挑戦をしてほしいですね。

(このインタビューは2021年7月に行いました。)