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教職のやりがいは、人としての生きがいそのもの

浜松聖星高等学校 校長 重信 明利 先生

カトリック校らしい、隣人愛と多様性理解のある校風

本校の特徴を一つのキーワードで表すとしたら……“多様性理解”でしょうか。

本校は静岡県下でもめずらしいカトリックの共学校ですが、宗教をバックボーンにする学校は、時に「不自由そうだ」という印象を持たれることがあります。厳格なイメージがあるのかもしれませんね。しかし、カトリックの教えの本質は自由であること。かつて私自身が通っていた公立の高校と比べても「こんなに自由なのか!」と驚くほどです。

カトリックの教義には、分け隔てなく人を愛する“隣人愛”という考え方があります。例えば生徒はそれぞれ異なる存在であり、その違いを尊重することが重要ですが、それも隣人愛の一つの形です。宗教的教義に基づいて人を縛るのではなく、教義を大事にするからこそ「互いに認め合うこと」を重視するのが本校だ、と言えるかもしれませんね。

校外の方から届いた、うれしい一本の電話

『宗教』の授業があり、心の教育を大切にしているのもカトリック校らしさです。ただ、キリスト教という宗教そのものについても教えますが、ここで本当に伝えたいのは、人としての“生き方”。聖書を題材にして、隣人愛などを学びます。これを『総合的な探究の時間』に組み込んでいるのも本校の特徴で、カトリックの教えを通して、生徒が自身の生き方を探究してほしいと考えています。

先日校外の方から、こんな感謝のお電話をいただきました。その方はある日、バスの中に傘を置き忘れてしまったのですが、それに気付いた本校の生徒がわざわざバスを途中下車してまで追いかけ、届けてくれたと。

聖書の中には「善きサマリア人のたとえ」という例話があります。困っている人、苦しんでいる人を決して見捨てないという教えです。それが生徒たちに浸透した結果がこのエピソードなのだとしたら、とてもうれしいですね。

隣人愛の実践を通して、世界に貢献を ~理数コースを新設~

もちろん学校として、教養やスキルの習得も非常に大事にしています。経営母体がスペインの修道女会であることから、かねてより語学教育や国際教養教育には熱心でしたが、近年はこれに加えてSTEAM教育にも力を入れ始めました。

本校は「隣人愛の実践により世界に貢献する人間を育てる」をスクールミッションに掲げています。人類が抱える諸問題の解決に臨む人、つまり「困っている人を見捨てない」人間を育てたいのです。一方で、現実社会を見すえてそれを具現化するには、国際的な教育に加え、先進的な科学技術教育も大きな要素になります。そのために今年度(2023年度)にコース改編を行い『理数コース』を新設しました。

理数コースでは、静岡大や浜松医大と連携した出前授業のほか、総合的な探究の時間に行う『科学探究』など、新しい取り組みを多数計画しています。特に、2泊3日でJAXAや理化学研究所などを訪問する『サイエンスツアー』は、生徒たちもとても楽しみにしているようです。

生徒との時間を大切に。教員も「善きサマリア人」た

このような特色を持つ本校ですが、公立校との大きな違いはやはり転勤がないこと。したがって本校で働く教職員に求めたいのは、理念に共感し、共にこれからの本校を創っていこうとする気概やビジョンです。

そして何より「人間が好き」であること。生徒を愛おしく思える心や、真摯に彼らと向き合おうとする姿勢は欠かせません。例えば、「そろそろ帰宅しようかな」と思った矢先に、生徒が質問や相談に訪れることもあるでしょう。そんなときは、しっかりと寄り添える人であってほしいですね。

近年は教育現場も働き方改革が叫ばれていますし、もちろんそれは本校も重視していますが、生徒との時間は何よりも大切。それは、先述の傘を届けた生徒も一緒ではないかと思うのです。自分の都合を後回しにしてでも、困っている人を見捨てない。教員もそんな「善きサマリア人」であることを期待します。

生徒と共感し合う喜び

実は恥ずかしながらかつての私は、主体的に教員を目指していた人間ではありませんでした。どちらかというと、なんとなく「教員免許でも取得しておくか」くらいの動機で。ところが教育実習に行った先で、生徒が「絶対に先生になってね!」と言ってくれて、その後の人生すべてが変わったのです。

教職が、「生産性が悪い」「ブラックだ」などと揶揄されがちな仕事であることは重々承知しています。しかし、授業で生徒が「わかった!」と言ってくれた、たったそのひとことで、えも言われぬ達成感が味わえるのもまた事実です。かつて私が経験したように。

生徒と一緒に流した汗、涙、共に過ごした時間……これほどまでに「共感性」を感じられる仕事はなかなかありません。「共感」は人間の本質的な営みであり喜びですよね。だとしたら教職のやりがいは、人としての生きがいそのものだとさえ言えるのではないでしょうか。ぜひ、そこに“共感”してくれる人たちと共に働きたいですね。

(このインタビューは2023年6月に行いました。)

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