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主体的・対話的で深い学び[STC 研修レポート2021]

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2021年度、中学校新学習指導要領の全面実施がスタートしました。「主体的・対話的で深い学び」のある授業展開が望まれています。物理の授業で、アクティブラーニングを10年以上前から実践してきた小林昭文氏を講師に迎え、これからの授業に必要な授業スキルとその実践例が示されました。参加者との質疑応答も活発で、先生方自身がアクティブに学ぶ2時間となりました。

■研修講師
小林昭文先生

小林 昭文 氏
株式会社AL&AL研究所 代表 授業改善アドバイザー

オンラインを生かした反転授業形式の研修

2021年4月から中学校新学習指導要領が全面実施となりました。主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)は、今回の改訂の目玉として、早くから注目されてきました。また、私立中高においては、先駆的な試みも行われてきました。いよいよ今年度からは、すべての学校において実践レベルの推進が求められています。

大学入試改革への対応にとどまらず、コロナ禍を含めた不確実な未来を生きるためには、知識を反復して覚えることから、知識を活用して思考力や表現力、判断力を伸ばしていく学び方へと変わっていかなくてはなりません。次代の教育を担う初任・若手の先生方には、これから中心的な役割を担っていただくためにも、主体的・対話的で深い学びへの理解を深め、授業力として身に付けていってほしいとの思いから、今回の研修は企画されました。

講師は株式会社AL&AL研究所代表で、授業改善アドバイザーの小林昭文氏です。研修そのものをアクティブラーニング型で行うことにより、受講した先生方に、これまでの授業との違いや発想の違いを体感できる内容となりました。

まず、受講する先生方には当日までにすべきことが指示されています。それは、小林氏が指定したユーチューブ上の講義動画を事前に視聴し、感想や質問をグーグルドキュメントのスプレッドシート機能を用いて、書き込みます。当日のレジュメや、教育雑誌に連載したオンライン授業に関する原稿も共有され、事前に学ぶ材料はすっかり揃っている形です。これをもとに、当日は質疑応答形式の研修となりました。
実は昨年度も同じスタイルで研修が行われましたが、コロナ禍での混乱や、先生方がオンライン授業に慣れていないこともあり、書き込みや質問はあまり活発ではありませんでした。そのため、研修当日も一部の先生だけの質疑応答に限られてしまった時間も見受けられました。しかし今回は多くの先生が事前視聴をされたようです。感想や質問も多く、しっかりと準備して研修に臨んでいることが見て取れました。研修当日の質疑応答やグループワークが充実したものになったのは言うまでもありません。

教科授業のスキルを磨く10のポイント

小林氏は、高校の物理教員時代にアクティブラーニングをいち早く取り入れ、成果をあげてきました。定年後、産業能率大学教授を経て、現在はフリーの授業改善アドバイザーとして、各地の高校や教育委員会の授業改善支援に取り組んでいます。

動画の中で、小林氏は「初任者は、主体的・対話的で深い学びを実現する教科授業のスキルを磨いてほしい。それを通して担任の仕事や生徒指導のスキルを身に付けていってほしい」と研修の狙いを述べ、「10のスキルアップポイント」を紹介しました。「適切なタイミングで授業の目的、目標(めあて)、タイムテーブル等を明示する」「グループワークで話し合いが進まないとき、授業者は生徒を叱るのではなく、確認テストまであと10分だけれど、順調ですか? などと質問で介入する」「トップを見捨てない」などです。
その具体例として、小林氏が高校勤務時代に実践した授業の進め方や内容についての解説がありました。チーム内で問題演習に取り組み、確認テストや相互採点、振り返りを毎回取り入れた結果、センター試験の平均点が向上し、成績下位層のボトムアップが図れたといいます。

オンライン授業と対面授業の違いを知る

動画では、コロナ禍で注目されることになったオンライン授業について触れました。授業や研修に「オンライン」という選択肢が加わった今、学び方は「講義型の集合研修」「体験型のワークショップ」「講義型のウェビナー配信」「オンラインワークショップ」と多様化することになりました。小林氏は、無理にオンラインワークショップを目指すと、もともとの「講義型の集合研修」、つまり日ごろの対面授業での基本スキルの乏しさが、露呈してしまうといいます。だからといってオンライン活用を避けるのではなく、普段の授業スキルの向上につながる良いチャンスとしてほしい、と話します。

さらに、「同期学習」と「非同期学習」の特色と効果、留意点を整理しておくこともポイントだといいます。全員が集まって学ぶ、同期学習は、対話的・共同的な学びができ、先生との触れ合いが生まれます。一方、非同期学習は、子どもたちがそれぞれの時間に行う学習なので、能力や環境に応じて、1人でやる力を育てることができます。

授業改善の根本は教員の生き方につながる

動画の後半で小林氏が強調したのが、今、授業改善が必要な理由です。新学習指導要領が改訂されたから、という目の前の話だけでなく、その背景にある歴史的・社会学的な要因にも踏み込んで解説していきます。たとえば、工業化社会から知識基盤社会への変化があります。雇用やライフステージが多様化する人生100年時代、AI(人工知能)などのテクノロジーの進展で創造的な仕事が求められる時代には、これまでの工業化社会を前提とした、教科教育や担任活動のあり方の見直しは避けられません。

この社会の変化は、授業の方法だけでなく、教員自身のキャリア形成にも影響を及ぼします。初任や若手の先生方には、まだまだイメージしがたいことかもしれませんが、教員以外の仕事、転職や副業、定年後のセカンドキャリアを考える機会が、現在の教員よりも多くなると想定し、教師力の向上が社会人スキルの向上に直結するようなキャリアを歩んでいってほしいと、小林氏は述べます。授業改善は「教員個人が幸せに生きるための基礎づくり」なのです。

活発な質疑応答で充実の内容に

研修当日は、グループセッションと質疑応答を中心に行われました。まず、15分間のブレイクアウトルーム(グループ活動)で、ビデオを見た感想や、質問してみたいことをまとめます。スプレッドシートに寄せられた50以上の質問や感想には、事前に小林氏の回答やコメントが書き込まれています。事前に講義動画を視聴してこなかったとしても、それを責めないのが、小林氏のアクティブラーニング研修の特徴です。配付資料を当日読むだけでも、内容にはついていけるようになっていますが、やはり動画視聴をしたほうが深い質問になります。受講者からの質問と小林氏の回答をいくつか紹介しましょう。

●質問1 仕事削減と成績向上の両立を目指すには?
●回答1 授業資料はパワーポイントでスライドを作成し、その印刷を生徒資料とする。問題集はアレンジしやすいものを活用した。教科書をそのままスライドに貼り付けるのも活用法の一つ。

●質問2 成績が伸び悩んでいる生徒が、グループワークで上位の生徒の答えを丸写しするなど、頼りきってしまい、自分で考えない。
●回答2 最後の確認テストが評価につながると感じ、プレッシャーに思うと生徒はできているふりをしたくなり、こうしたことが起こる。練習問題と解答解説を同時に配り、教科書を見たり、友達と相談しながら解くことも認めながら進めるとよい。しかし、伸び悩んでいる生徒はコンプレックスにより、グループ活動で黙ってしまうので教師の支えが必要。「質問してみよう」「何ページに書いてある?」などと、考えることに入るよう促す。

●質問3 社会科で思考型の授業をすると「知識獲得がおろそかになる」「受験は大丈夫ですか?」と生徒が不安がる。確固たる答えが返せない。
●回答3 物理の授業では「なぜ」を常に生徒に問うた。それで知識は覚えられる。発表やレポートで先生や生徒が、根拠をたずねる環境を作ること。発表者が歴史上の出来事を取り上げるなら、年号を添えるのは当然だ、年号が言えるのが当たり前、という環境を作れば知識は定着する。

このほか、研修全体では、14人の先生から質問があり、小林氏が一つずつ、ていねいに答えていました。質問者以外の先生も、積極的にそのやりとりを聞いている様子がうかがえました。

振り返りの感想の中には「幅広い質問に対して、具体的なアドバイスをくださり、大変勉強になりました。」「個人の体験を聞くことで勉強になりました。」「多様な教科の意見を聞くことができて、とても興味深かった。」「自分自身が今までの教員生活の中で定着させてしまった習慣の中には、見直すべきものがあるということが改めて認識できました。」など、いつも以上に長文の書き込みを見ることができました。
動画やレジュメなどの豊富な資料が用意され、研修を通じて、積極的に手を挙げて質問して大丈夫だという「安心・安全な授業」の雰囲気を感じていただけたものと思います。

■開催概要:

日時:2021年5月29日(土)16:30~18:30
場所:Zoomオンライン

■講師紹介:

小林昭文氏
株式会社AL&AL研究所 代表 授業改善アドバイザー
埼玉大学理工学部物理学科卒業。空手のプロを経て埼玉県公立高校教諭として25年間勤務して2013年3月に定年退職した。在職中にカウンセリング、コーチング、エンカウンターグループ、メンタリング、アクションラーニングなどを学び、それらを応用して高校物理授業をアクティブラーニング型授業として開発し成果を上げた。退職後は河合塾教育研究開発機構研究員、産業能率大学経営学部教授を務めた後、現職。年間100回前後のペースで高校等の研修会講師を務めている。著書に『アクティブラーニング入門』(産業能率大学出版部)、『これならできる!授業が変わるアクティブラーニング』(汐文社)ほか、多数。

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