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第5回 初任者研修【夏】①:主体的・対話的で深い学び ~授業を通して担任・生徒指導スキルを磨く~[STC研修レポート2023]

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 学習指導要領が改訂され、「主体的・対話的で深い学び」の実践が課題となっている昨今、授業や担任指導で求められるスキルは高度化かつ複雑化しています。 

授業改善アドバイザーとして活躍する小林昭文氏を講師に迎え、グループワークを中心に教育現場での問題点や疑問点を共有し、「主体的・対話的で深い学び」をどのように授業に取り入れていけば良いのかを具体的に学んでいきます。 

■研修講師

講師:小林 昭文 氏 

AL&AL 研究所 代表 授業改善アドバイザー 

 

主体的・対話的授業実践への悩みを共有 

今、教育現場では、『主体的・対話的で深い学びからの授業改善』が強く求められています。限られた授業時間の中で生徒の主体性を引き出し、コミュニケ―ションを多く取って『深い学び』へとつなげるには、どのように実践すれば良いのでしょうか。 

講師は、埼玉県公立高校教諭として25年間勤務し、物理授業においてアクティブラーニング型授業を開発・実践、現在は授業改善アドバイザーとして全国で講演を行う小林昭文氏です。 

今回の研修では、事前に講義動画を視聴して小林氏の豊かな経験をもとにしたさまざまなメソッドや心構えを学び、研修当日にはグループワークと質疑応答を通じて参加者それぞれが抱える問題点を共有、小林氏が具体的な対応策についてアドバイスしていきます。 

参加者が事前に書き込んだ動画への感想や質問の内容もスプレッドシートにまとめられ、小林氏からのコメントとともに全参加者に共有されています。 

 研修当日は、最初に小林氏から簡単な挨拶と説明があり、その後すぐに3~4名ずつのグループセッションを行いました。話し合う内容は、簡単な自己紹介と講義動画への感想・質問の共有です。 

話し合いで出た意見は、グループごとに用意されたGoogle Jamboardにメモするよう小林氏から説明がありました。Google Jamboardの使い方に苦心するグループもありましたが、どのルームでも和やかに自己紹介が交わされ、授業での現状や問題点、動画を見ての感想について活発に意見が交わされていました。 

 20分程度のグループセッションの後、Zoom画面上でGoogle Jamboardを画面共有し、各グループが書き込んだメモを全員で確認しながら、質疑応答が行われました。小林氏は質問をした参加者に詳細を聞き、問題点を解きほぐしながらヒントとなるアドバイスを話していきます。 

「発達障害に代表されるような、配慮の必要な生徒も含め、対応すべき生徒のタイプの幅が広いため、授業に集中させる工夫が難しい」という意見があがり、小林氏は生徒それぞれが得意な方法で授業内容にアクセスできるよう、動画やレジュメなど、複数の手法を用意する方法をアドバイスしました。 

また、「学力のバラつきが激しい場合、数学の演習の難易度をどう設定するか」という質問について小林氏は、クラスの2~3人しか解けない問題、ほとんどの生徒が解ける簡単な問題と、それらの中間の難易度の問題2題と4題の問題を用意し、各自解いた後にグループワークで教え合う方法を提案。このほか、生徒との距離感をどう考えるかについてや、理解はしていても実際にテストでは正答を書くに至らない生徒への指導などさまざまな話題があがり、小林氏は一つひとつ丁寧にアドバイスを行いました。 

 

質問をもとに授業運営の具体策を指南 

10分間ほど休憩を取った後、2度目のグループセッションが20分ほど行われ、その後メインルームで再び質疑応答が行われました。 

「国語の宿題で、コツコツ取り組む課題には積極的に取り組む生徒は多いが、考えを深めたり少し複雑な課題になったりすると難しいと感じる」との質問がありました。小林氏が質問者に詳細に聞くと「長文の文章全体の概要を把握するのが苦手な生徒が多い」ことが問題点として浮上しました。 

対策として各自で段落ごとに要約する→2~3人のグループで要約を見せ合って意見交換するというタームを、同じ文章に対して2度繰り返す手法を提案しました。この手法を小学6年生の授業で実践したところ、非常に効果があったと小林氏は言います。 

「学び合いによって全体の文意や要約の要領が理解できるのです。この取り組みでは「読む・書く・聞く・話す」をすべてが行われており、これが力を伸ばします。生徒に合ったやさしい文章を課題にしてやってみてください」と詳細にアドバイスしました。 

 「保護者会で意識すべき点」についても質問がありました。小林氏は「教員が説明するだけの保護者会は、保護者に非常に不評である」と述べ、保護者同士が顔見知りになり、親しくなる時間を多く取るべきだと強調しました。その方法として、互いに名前を聞いて座席表に名前を記入してい『座席表作り』ゲームを提案。「会話を交わすきっかけとなり、自然と保護者同士でLINE交換がはじまる」と小林氏は言います。ゲームで親しくなった後、グループに分かれて教員への質問等を意見交換、それに答える形で会を進めれば保護者の満足感も高くなり、必要な情報も伝達できます。また、保護者同士が親しくなれば、学校や子供への悩みを情報交換するようになり、不安が和らいで教員への問い合わせが減る傾向にあることも説明しました。 

「高専ではHRが週1回で職員室がなく、教員は個室の研究室にいるので生徒とのコミュニケーションの機会が少ない。どのように交流していけば良いか」という質問に、小林氏はオンラインツールを使う、定期的に研究室に数人ずつ呼んで雑談する機会をつくるなど、生徒がリアルで集まれる場所とオンラインでも教員に連絡できる場を提供してあげると良いのでは、とアドバイス。「雑談できる環境作りが重要」だと述べました。 

このほか、「新クラスの『クラス開き』で気を付けるべき点は?」という質問も出て、小林氏は「一人ひとりが自己紹介をする伝統的な方法は、主体的・対話的な学びとかけ離れてしまいます。コミュニケーションを多く取る工夫が必要。保護者会で紹介した『座席表作り』など、たくさんの手法があるので、別途資料をご提供します」と話しました。 

 

すぐに導入できる基本スキルとストップウォッチの活用 

講義動画で紹介されていた小林氏が開発した基本スキルについてアドバイスりました 

「特にやってみたい1つか2つ選んで継続することがお勧めです。『始業チャイム前に入室する』『笑顔で児童生徒と接する』を選ぶ方が多いですね。 

実行できそうでなかなか難しいことですが、これらが授業スキルを上達する基本になっていると思います。本当にそれだけでクラスの雰囲気が変わるので、ぜひトライしてみてください」と話しました。 

最後に、小林氏は授業での時間管理にストップウォッチの利便性について説明。黒板に貼り付けたタイマーや教室の時計では、生徒は時間を気にしてグループワークに集中できないからです。「議論が盛り上がったら時間を少し延ばす、収束しているようなら早めに切り上げるなどの調整もストップウォッチなら可能です」と話しました。 

質疑応答が終了し、受講者が振り返りスプレッドシートに記入して、研修は終了しました。 

 振り返りでは「始業チャイム前に入室することを習慣化したい」グループワークで見捨てられているのはむしろ学力が高い学生たちのほうだという指摘が印象に残った」「互いに答えを見せ合って学んでいく方法を取り入れたい」といった、研修からヒントを得たという意見が多くありました。このほか、「ほかの参加者の質問と共有したことで、自分では気づけない着眼点から理解を深めることができた」「主体的・対話的な学びの実践にはどのような方法があるのかを共有することで、具体的に考えることができた」という意見もあり、自らの問題点と向き合う機会となったようです。 

 

ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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