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コラム

大学入試改革と学校現場 | 第1回 共通テスト再編第二章

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2021/12/10
受験勉強中の女子高校生

■この記事を書いた人
この記事を書いた人、光延栄治氏
株式会社エデュ・フィールド
代表 光延栄治
私学私塾での教職員研修会や保護者教育講演会他、多数の講演・研修を手掛ける。
カリキュラム・シラバスの再構築や授業力診断(ライブ・リモート)、定期考査の問題分析診断にも従事する教務教学のスペシャリスト。大阪市生まれ。

共通テスト・転換元年を振り返る

2021年度、センター試験から大学入学共通テストへの転換。当初は「英語の試験がなくなって民間検定に取って代わられる」「記述問題が採用され、民間企業がその採点を請け負う」「紙による試験(PBT)を廃止し、全てCBTでキーボード入力となる」「理数において日常生活的課題の設問が多く採用され、難易度も大きく跳ね上がる」など迷走しました。

結果的には、「リスニング配点比率のアップと独立の文法・アクセント問題の削除」「一部、日常生活的課題の設問採択」が見られるのみで、記述や民間検定は正式に採択見送り、CBTは今後検討するに留まりました。さらに、難易度についても平均5割基準を謳いながら、最後のセンター試験より易化した科目も多く、「拍子抜け」の印象は否めませんでした。しかし一方で、コロナ禍の中で習熟内容・進度に不安を抱えていた受験生が多い中、変化を抑え、配慮に満ちた入試であったと思われます。

本当の変化はこれから ‐ 注目点は「数学」と「情報」

ただし、新時代に求められる人材を育む為の入試改革である以上、本当の変化は焦点を変えて今後訪れることとなります。2021年7月末に発表された、令和7年度以降の共通テストの概要がそれに当たりるのですが、新学習指導要領を受けての教科・科目編成の変化で大きなポイントが2点挙げられます。

各校の柔軟な対応が見られる「数学」

その一つは、「数Ⅱ・B・C」の設問選択内容。当初は現行同様、文系生が受験する場合は「数ⅡB」だけで選択出来るようになると思われていました。ところが、蓋を開けてみると「数B・Cのそれぞれの習熟範囲から二題ずつが出題され、その内三題を選択する」ということに。多くの学校が数Cは理系生のみが選択習熟と考えて教育課程を編んでいた中、対応が求められることとなりました。

①文系生にも、「数C」を全て習熟させるものとする

②文系生に対して、学校設定科目の「数ⅡB演習」や「文系数学演習」の中で数Cの内、ベクトルのみを履修させるものとする

③正式な科目としての履修開講はせず、夏期特訓や土曜講座などの中で必要な文系生のみに、ベクトルを習熟されるものとする。また、物理基礎の中で初めてベクトルに触れるので、理科との協働の中で、少し厚目に数学的な演習を取り入れる

この他、数Cの学習年次を2年次に設定する学校も散見され、それぞれの学校の事情に応じた柔軟な対応を見ることが出来ます。

「情報」は未知数な部分も

もう一つは「情報」の実施。新学習指導要領では必履修科目である「情報Ⅰ」の中に、プログラミングなど情報デザインの内容を内包しており、共通テストでどのように扱われるか注目が集まっていましたが、その概要がサンプル問題で明かされました。建付けこそ3問構成でしたが、4つの領域からバランスよく出題されており、特定のプログラミング言語の使用で不公平感が出ぬように、仮想言語を使うなど配慮も感じられました。また、比例代表選挙のドント方式の当選者配分やサッカーチームにおけるデータ分析など、実社会の中での活用に重きを置いた設問になっています。

難易度は現行の大学入学共通テスト数学の設定科目である「情報関係基礎」よりは高くなっています。よく話題に上る情報系の検定である「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」などよりも学習領域で重なる部分が多くありますので、対策としての演習材料に活用できそうです。ただし、この全領域を果たして「情報Ⅰ」の標準単位数である2単位で網羅出来るかという課題が出てきます。

私が関わっている学校の情報の先生方のほとんどが「困難です」と回答されており、大学受験を見据えて「情報演習」など情報系の学校設定科目を3年次に選択科目とし、そこで1年次に十分出来なかった演習時間を確保するなどといった案が出ています。現状では多くの大学・学部が入学選考に採択するかどうかはまだまだ不透明(某予備校8月の調査では13%の大学が共通テスト活用を検討しているが、過半数が判らないと回答)。本当の意義はCBTになってからという声も多く、この試験の対策を巡ってはまだまだ予断を許さない状況です。

これら二点の他、新たな科目である歴史総合・地理総合・公共のサンプル問題も公表されています。まさに、「共通テスト再編の第二章」は既に幕が開いたと言え、目が離せません。

次回コラムでは、こうした新たな変化・再編に対して「学校」はどのように動いているか、に焦点を当てていきます。

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