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「保護者対応」マニュアルより先に知っておきたい大切な視点とは

2022/12/16

私学の保護者インタビューから学ぶ「保護者対応」のヒント

私学の教員を目指す方から、心配事の一つとしてよく相談を受けるものの一つが「保護者対応」に関する内容です。「公立学校以上に私学は保護者からの期待が高いのでは?」「やっぱり保護者対応は私学のほうが大変ですか?」等、(特に初めて社会人となる、新卒の方から)漠然とした不安の声が寄せられることがあります。
私学の教育は教育理念がベースになっているため、内容は各校さまざまです。それに伴い、生徒対応や保護者への対応も学校ごとに取り決めがあり、それぞれでマニュアルのようなものも存在していると思います。
今回は、そういった学校ごとの、保護者対応マニュアルという視点ではなく、「保護者が私学に期待していることはどんなことか」「どういったところに魅力を感じているのか」という視点に立ち、生徒と保護者への理解を深めていきたいと思います。

中学受験を希望する小学生や保護者向けの雑誌「私立中高進学通信~ママズカフェ~」の特集より抜粋し、子供を私学に通わせた保護者へのインタビュー内容を通して一緒に学んでいきましょう。
(参考:「私立中高進学通信2022年1月号」https://www.schoolnetwork.jp/jhs/

私学の“学習面”の指導について保護者はどう感じている?

・授業の進度が速く、内容も高度。理科の実験が非常に多く、発表の機会も結構ありました。毎日の学習時間の目標があって、それより少ないと指摘されていました。
・先輩が後輩に勉強を教えたり、同級生で教え合う取り組みがありました。テストの成績が悪い生徒同士が教え合う機会もあり、生徒同士が高め合う環境があったようです。
・頻繁に課題テストがあったので、学習習慣が身に付いていました。
・夏休みに講習が開講されていました。先生方の面倒見がよく、ていねいに指導されていました。
・学習手帳を配布し、学習計画や勉強した内容を書く指導がありました。計画を立てて勉強し、ものごとを進めていく大切さを、中学時代に学校で教えてくれるのは助かります。

私学の“生活面”の指導について保護者はどう感じている?

・身だしなみや挨拶などきちんと行うことが重視され、指導も行き届いていました。社会的なルールを身に付けることができました。
・「お母さんは朝起こさないでください」と言われました。「遅刻してもいいので自分で起きる習慣をつけるように」とのことです。恐ろしくて「起こさない」なんてできませんが(笑)。

私学が取り組む‟進路指導”や“キャリア教育”について保護者はどう感じている?

・私学では「大学受験は当たり前」という雰囲気なので、進路選択の幅も広がると感じます。キャリア教育も頻繁に行われていましたね。
・子どもの学校では最難関大学を目指す生 徒が多かったので、高3になると志望大学に特定した授業が 行われていました。
・うちは推薦で大学に進学しました。私学だからこそ実現した進路で、塾には通いませんでした。
・中学生という早期の段階からキャリア教育に力を入れている学校が目立ちます。卒業しても母校や仲間との関わりが強い私学では、後輩たちのために卒業生が尽力してくれる機会が多くあります。
・企業訪問では、社員(卒業生)が会社内を案内してくれたり、実際に働く現場でお話をしてくれたりするなど、実社会と触れ合うことが刺激になったようです。学校で行われる卒業生講演会などでは現在の仕事や、大学時代・受験生時代のお話を聴くことができます。成功体験だけでなく、「中高時代は成績が振るわなかったけど…」などのリアルなお話も。卒業生は身近なロールモデルなので、「自分も頑張ればできるかも!」と、勉強へのモチベーションが高まるようです。

私学が取り組むの“グローバル教育”について保護者はどう感じている?

・ほぼ全員が海外研修へ。希望者対象の語学研修も豊富です。海外に行かなくても留学生と交流するプログラムもあります。
・子どもの学校では、1年間の長期留学後に、試験を受けて合格すれば元の学年に戻れる制度があります。

「私学らしいな」と保護者が感じた、各校の特別な取り組みとは?

・華道や和楽器など日本文化に触れる学びや、礼法の授業もありました。
・歌舞伎・オペラなどの芸術鑑賞もあります。うちの子は「歌舞伎に感動した」と言っており驚きました。子どもに何が刺さるかはわからないので、多くの体験をさせてくれるところに私学の多様性・柔軟性を感じます。
・教養を深める講座があります。授業とは一切関係なく、たとえば一冊の本を研究するとか。
・宗教教育も私学ならではです。その影響か、子どもの学校は皆ガツガツしておらず、やさしい雰囲気です。
・文化祭や体育祭などの行事を生徒会・生徒主体で行うなど、生徒会活動や委員会がさかんで、子どもたちはそれぞれが得意な分野で活躍し、個性を発揮できているところです。子どもも主体性を持って取り組んでいましたね。

語り切れない!まだまだある保護者が感じる私学の魅力

・やはり理念に基づいた教育 がされているところです。子どもの学校は“自立した女性”を目指す教育が行われていたので、「学校のカラーに影響された」と言っています。ものごとを計画的に行い、テキパキと動くことができるようになりました。
・学習環境が良いと思います。コロナ禍ではいち早くオンライン授業に切り替えてもらい、そういった対応の早さも安心感がありました。周りは中学受験で学習習慣が身に付いている子が多く、真面目でコツコツ勉強する生徒が多い印象です。子どもも他の生徒の姿に触発されることも多かったようです。
・校舎がきれいで設備が整っているのも魅力です。人工芝グラウンドでは天候に左右されず部活動に打ち込めたようです。
・6年間同じ環境で、友人・先輩・先生と交流できるところが最大の魅力。特に先輩の力は大きく、子どもは大好きな先輩がいて学校が好きになっていきました。
・友達に恵まれること。公立では中高でメンバーがガラッと変わりますが、中高一貫校だとずっと友達と仲良くできます。皆がお互いを認め合い、尊敬し合っている雰囲気です。学校でできた友達は、子どもの一生の財産になると思いますね。
・保護者同士も子どもの部活動の応援などで仲良くなれます。価値観の合う保護者間の交流は居心地がよく、一生付き合えるようなママ友ができました。自分が卒業した公立の母校よりも愛校心を持っています。
・子どもの反抗期を乗り越えられたのは学校のおかげ。反抗期の子どもには保護者よりも先生の影響が大きかったようで、先生が「我々がきちんと指導します」と言ってくださったのは心強かったですね。
・多感な時期の子どもに、親としては迷ったり悩んだりすることが多いですが、「大丈夫です。任せてください」と学校から言っていただけるのはうれしかったです。

私学の教育は学校によって大きく異なりますが、保護者の声からは、学校の教育に満足している様子が伝わってきます。リアルなお話は、これから「私学の教員を目指す」方々にも参考になったのではないでしょうか。

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