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「いじめ」について知っておきたいこと

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2019/01/29

もし自分のクラスでいじめが起きたら…。先生なら誰しもそのように考えます。また、実際にいじめが起きたら、担任はその対応に頭を悩ませることになります。
「いじめはどの子どもにも、どの学校にも起こりうる」と国も認めており、私立学校も例外ではありません。
教員の仕事をする以上、避けて通れない「いじめ」問題。正しく理解し、現状や初期対応の基本を知ることからはじめましょう。

その生徒が苦痛を感じたかどうかで判断

「いじめ」とはどのようなことを指すのでしょうか。「気になる子」の言動が気になる、生徒本人や周囲からいじめの相談があった、保護者からの指摘があるなど、さまざまな場面が想起されます。「いじめ」の定義は現在、次のように定義されています[1]。

「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」

少しわかりづらい文章ですが、この定義を理解するには、これまでに国がいじめ対策を強化し、定義も見直しを行ってきた経緯[2]を合わせて押さえておく必要があります。

昭和61年には、いじめは「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」と定義されていました。

ですが、平成18年度からは「一方的に」「継続的に」「深刻な」といった文言は削除され、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」とされたのです。つまり、いじめられた生徒本人が心身の苦痛を感じているものは「いじめ」として扱うことになったのです。具体的には次のようなものが「いじめ」のありようとなります。

● 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる[3]
● 仲間外れ、集団による無視をされる
● 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
● ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
● 金品をたかられる
● 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
● 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
● パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる

周りの生徒や教員が「ささいなこと」と思っていても、それがきっかけとなり自殺に至ってしまうケースがあることは、後を絶たない悲しい事件を見ても明らかです。また重大な事態に至らなくとも、いじめが、その後の生徒の人間関係や家族にまで大きな影を落とすことも十分にありえます。
子どもの命を守る、という観点から、いじめられた生徒本人の立場に立った見方が優先されるのです。

いじめの認知件数は増加

文部科学省は毎年「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査[4] 」を公表しています。この調査は、いじめの状況がどのようになっているかを示す資料で、調査の対象は国公私立小・中・高・特別支援学校、都道府県教育委員会、市町村教育委員会で、私立学校も含まれます

最新のデータによると、2017年度のいじめの認知件数は41万4,378件で前年度より9万1,235件増加しています。児童生徒1000人あたりの認知件数は30.9件(前年度23.8件)となっています。約9万件もの増加となった背景には、平成29年3月に改正された「いじめの防止等のための基本的な方針」で「けんかやふざけ合いであっても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、児童生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断するものとする」としたからです[5]。 このため小・中学校での認知件数が増加しました。

いじめによって生命や心身、財産に重大な被害が生じた疑いや、長期欠席を余儀なくされた疑いがあるとされた「重大事態」は474件で、こちらも前年より78件増えており決して見過ごせない数字となっています

ひとりで抱え込まず組織対応を

いじめが疑われる事態にあったら「ひとりで抱え込まない」のが鉄則です。まずは、いじめと疑われるようなことが起きたら、学年主任や管理職、生徒指導担当の先生と情報を共有し、「いじめかどうか」の判断や対応を「組織として」判断していくことが必要です

「いじめ防止対策推進法」の成立で学校は公私を問わず、いじめ防止のための基本方針を定め、校内組織を置くことを義務付けられています。さまざまな事態に対応するための「ガイドライン」も整ってきました。いじめは特定の生徒によって引き起こされるだけではありません。「どの子どもにも、どの学校にも起こりうる」ことです。自分のクラスでいじめが起きるのは「ありうること」と前提にして、早期発見・対応ができるようにいじめを理解し、向き合っていく必要があります。

いじめに関する知識を深めるには、国立教育政策研究所の生徒指導・進路指導研究センターが公開している「いじめ」をテーマにした資料集が参考になります。時間がない方は、「いじめ防止対策推進法」施行後に出された、平成27年7月発行の『生徒指導支援資料5「いじめに備える」』 から読むのをおすすめします。教員経験者も、これから教師を目指す人にもわかりやすい内容になっています。


[1] 滋賀県大津市であった中学2年生男子の自殺を踏まえて平成25年に制定された「いじめ防止対策推進法」によるものです。
[2] いじめの問題に対する施策 -文部科学省-
[3] (3)いじめの防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日)(最終改定 平成29年3月14日) 5ページ目
[4] 29年10月25日 文科省 報道発表
[5] 平成29年3月16日「いじめの防止等のための基本的な方針」の改定及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の策定について(通知)に次があります。「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)の改定について【主な改定事項】

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