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コラム

オンライン授業① コロナ下でのオンライン授業、現場はこう動いた

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新型コロナウイルス感染症対策により、多くの学校が休業を余儀なくされています。生徒の自宅自粛が続くことで、学習の遅れや生活リズムの乱れを心配する声も多数上がるようになりました。そうしたなか注目されるようになってきたのが「オンライン化」。インターネットを介して、HRや授業を行おうという試みです。しかし、その実践は各自治体や学校に委ねられているのが現状で、なかなか全容が見えてきません。現場では、ここにどう取り組んでいるのでしょうか。

遅れが目立つ、オンライン授業の導入

「91」と「5」。何を示す数値だと思われますか?

これは、新型コロナウイルス感染症対策として休業措置を取っている学校は91%、対して同時双方向型のオンライン授業を実施している学校は5%だったという調査結果(文部科学省)です。

一般的に「オンライン授業」とは、ネット回線を通して授業映像や教材を配信する「オンデマンド型」と、テレビ会議システム(Zoom、GMeet、Teamsなど)を使ってリアルタイムに行う「同時双方向型」に分けられますが、5%という数値はこの「同時双方向型」の実施率を示します。オンデマンド型でも39%(教育員会提供の授業動画、その他のデジタル教材活用の合計)にとどまるなど、共に決して高いとは言えない数値です。

「学校側に指導ノウハウがない」「生徒のデバイス所有、家庭の通信環境が不十分」といった事情が主な原因ですが、この調査は公立校だけを対象としたもので、私立校に限ればもう少し高い数値が出るようです。ICT環境を整備しようにも、どうしても自治体・教育委員会などとの意思統一が必要になり時間を要してしまう公立校に対し、私立校は学校(法人)が独自の判断で進めていきやすいためです。私立高校に限定した別の調査では、同時双方向型の実施率は26%でした。
(出典:LINEリサーチ

いずれにせよ、生徒の学びを止めるわけにはいきません。学校も生徒も、公立も私立も、それぞれが手探りしながら「今できる最善を尽くす」の精神で、授業のオンライン化に努力しています。

(表1)
4月22日現在、臨時休業を実施している学校の割合(全国)

※調査時は実施していないが、休業を決定しているものを含むと94%
出典:文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策のための学校における臨時休業の実施状況について」

(表2)
臨時休業中の家庭学習

出典:文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策のための学校における臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取り組み状況について」

オンライン授業をやってみてわかったこと

「オンデマンド型」は放課後学習や家庭学習にも使えることから、コロナ問題が発生する以前から利用していた学校もありました。しかし、「同時双方向型」はこれまでの対面型授業に代わる存在。「授業は教室で、先生と生徒が同じ空間にいながら行うもの」という従来の常識を根底から覆すような手法です。先生方も、生徒たちも、戸惑うのも無理はありません。

同時双方向型を実施してみた先生方の声を拾ってみると、さまざまな課題が見えてきたと言います。最もよく聞かれるのは、オンラインだけに、生徒の表情や動きを察しづらいという意見。レスポンスを感じにくいため、一方的な講義形式の授業に陥りがちで、生徒が退屈してしまうのです。

しかし、改善と工夫を重ねるなかで、多くのメリットも実感できるようになりました。大阪府のある私立高校の先生は「ネットを介してとはいえ、やはり生徒の顔を見ながら授業ができるのは楽しい。生徒たちからも『先生や友達に会えてうれしい』という声が多数聞かれる」と言います。

また、新たな発展性も見えるようになったそう。たとえば、授業で使うテレビ会議システムに搭載されたチャット機能です。質問や感想は随時ここに書き込むようにしたところ、予想外に活発な意見発信が行われるという結果に。通常の授業における「挙手をして発言する」という行為に抵抗がある生徒も、これならハードルが低かったようです。「一方通行な授業になる」という課題も、これでずいぶん改善されました。

また、板書や教材提示、グループワーク時の机の設置など、授業の「時短」にも効果的でした。さらに、録画機能を使えばこれがオンデマンド教材の役割も果たし、休んだ生徒の補講にも便利です。

こうした試行錯誤を積み重ねて、多くの学校で同時双方向型オンライン授業における制度やルール整備が少しずつ進んできました。たとえば、余計な音を拾ってしまわないよう「生徒のマイクは原則としてミュート」「指示や指名があったらミュート解除して発言」、互いの様子がよくわかるよう「反応はオーバーリアクション」「OKやNOなど返事はハンドサインで大きく示す」、オンライン特有の参加意識の低さや孤立感を防ぐため、「生徒一人につき最低1回は、授業内で何らかのアクションをできる機会を作る」、トラブル防止のため「生徒間の個人チャットは禁止」、回線の不具合で落ちてしまう生徒のために「他の緊急連絡手段網(メッセンジャー、LINEなど)を作っておく」といったものが挙げられます。

従来のアナログ対面授業をそのままオンラインで再現しようとする発想だと、『あれができない、これができない』というネガティブな結論に陥りがち。それよりもアナログの良さを活かしつつ、「オンラインだからできること」に目を向けたほうが効果的だと言えそうです。

(写真1 キャプション)

テレビ会議システム「Zoom」を使ったオンライン授業の様子

オンラインが教育界に「オープン・イノベーション」を起こす!?

オンライン授業は大きく分けて、短期的・中長期的、二つの意義を持つと言われます。

まず短期的には、「学びを止めない」こと。子どもたちの学びの機会や意欲を奪わないためです。一方で「オンラインを“急場しのぎ”で終わらせるのはもったいない」と指摘する声も多く聞かれます。中長期的な視野に立った場合、オンライン授業やICTツールの利活用が一気に進むことで、今後の教育のあり方を変える可能性があるからです。「早く学校が再開できるように」――誰もが抱く思いでしょうが、だからと言って「早く『以前と同じ』学校に戻せるように」と考える必要はないということなのでしょう。

現在、SNSなどを中心に、学校の垣根を超えた教員同士の情報交換が爆発的に広がっています。個の利益にとらわれず知識や情報を広く外部と共有し、新たな価値創造につなげていく「オープン・イノベーション」です。

オンライン授業は、アフターコロナで来たるべき新たな教育のカタチを示す、一つの契機なのかもしれません。より理想的な学校へとバージョンアップするチャンス、進化の岐路に立っていると考えることもできるのではないでしょうか。

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