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教員研修・育成セミナーレポート

「非認知能力」について学ぶ、私立学校の最先端の取り組みとは

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Z会ソリューションズ主催の、オンラインセミナー『非認知能力の評価と育成のノウハウ』に参加いたしました。Z会グループ 新学力研究開発アドバイザーであられる北川達夫先生が宇宙飛行士に必要な非認知能力について翻訳・分析を行った『宇宙飛行士の教科書』が今年10月、発刊されました。その発刊を記念し、 理論と実践について非認知能力の評価と育成について紹介されたセミナーです。
本レポートでは、教員をめざす皆様向けに、セミナー第三部でテーマとなった、非認知能力の評価と育成のノウハウに関する「学校での実践事例」について詳しくレポートさせていただきます。講演されていたのは、大妻中学高等学校の森弘達先生、海城中学高等学校の中田大成先生、海陽中等教育学校の西村英明先生です。各校では、非認知能力の評価育成のツールとして、DiscoveRe Method® を活用されています。
[DiscoveRe Method®とは]宇宙飛行士の訓練ノウハウを活用した非認知能力可視化・育成ツール。DiscoveRe Method®はJAXA(宇宙航空研究開発機構)のサポートのもと、Z会グループとSpace BD株式会社が共同で開発しました。
▼詳しくはこちらもチェック➡非認知能力可視化・育成ツール『DiscoveRe Method®』とは

非認知の力を育むことの重要性
~大妻中学高等学校/森達弘先生~

 森先生は、4つの観点から、非認知能力の重要性についてお話しくださいました。
非認知能力の一つとして、「自己肯定感」が挙げられます。アメリカではSEL(Social Emotional Learning)の取り組みにより自己肯定感向上の成果が上がっているという報告があるそうです。一方で、日本の子どもたちは自己肯定感が低いということが課題になっています。
 新学習指導要領からも非認知能力の重要性がうかがえると森先生はお話しくださいました。新学習指導要領にある、「資質・能力の3つの柱」は、まさに非認知能力とつながると考えられます。
 日本は少子高齢化や人口減少など、多くの課題を抱える課題先進国と言われています。このような中でイノベーションを起こす人材を育てる鍵となるのが、非認知能力であるということです。なぜなら、イノベーション人材を育てる上で欠かせないのが、「ゼロからイチを生み出す力」「異なったものを掛け合わせる力」を育む教育だからです。
 私立大学・国公立大学に関わらず、入学試験において、志望理由書や小論文、面接を重視する方向に変化してきており、非認知能力が重要であることは、大学入試の変化にも表れています。
 以上を踏まえ、大妻中学高等学校では、非認知能力の育成と可視化に力を入れているそうです。
 例えば、中学3年生では、道徳と総合的な学習の時間を融合させ、自分自身と進路、キャリア、職業、社会、未来について考え、理解を深めるような指導をされています。思考力・判断力・表現力や学びに向かう力を育むことを重視しているそうです。その際に、ツールとしてDiscoveRe Method®を活用しているとのことでした。
具体的には、2学期3学期に実施し、セルフチェックを2回、スキルチェック1回実施という頻度で利用されているそうです。実施担当は道徳・総合的な学習の授業担当者である管理職が担当されています。振り返り方法は、DiscoveRe Method®の振り返りシートを活用しているとのことです。可視化データの結果から、生徒たちの非認知能力はDiscoveRe Method®の活用により、伸びてきているととらえておりました。
森先生は、非認知能力が日本の教育を変えると熱く語ってくださいました。

学校改革と「非認知能力」の育成
~海城中学・高等学校/中田大成先生~

 中田先生は、学校改革の発端とその起点から、非認知能力の育成の重要性についてお話しくださいました。
 海城中学高等学校では今から約30年ほど前に、東大に入ってからの留年率の高さが課題として挙げられました。そこで、「国家社会に有為な人材の育成」という建学の精神に基づき、「新しい学力」「新しい人間力」をつけていくべきであると、改革が行われました。「新しい学力」とは課題設定・解決能力のこと、「新しい人間力」とは対話的なコミュニケーション能力とコラボレーション能力を兼ね備えた力のことです。
たとえば、「新しい学力」を育むために、社会科総合学習では自分で課題設定を行い、フィールドワーク等を通して論文を作成するという活動を行っています。
また「新しい人間力」を養うには、座学だけでは難しいので、プロジェクトアドベンチャーやドラマエデュケーションと呼ばれる、体験的な教育プログラムを行っています。
海城中学高等学校でも、もちろん、キャリアパスポートは実践されています。キャリアパスポートの意義として、中田先生は2つ挙げておられました。1つは帳票にしめされたデータを分析して何らかの気付きを得ること、もう1つは気付きを自分の将来像と照らし合わせ、自己調整のポイントを明らかにし、自己変容へつなげることです。また以上のことを自分の言葉で言語化することも重要です。
そこで、キャリアパスポートを実践する上で、宇宙飛行士の訓練方法を活用した、DiscoveRe Method®が適切であると判断されたそうです。
子どもたちに自分たちの学習・活動を振り返らせる際に①どのような領域の資質・能力を
②どのような観点・指標であるいはどんな具体的な行動を以て評価したらいいのかを学ばせるためのツールとして活用されているとのことでした。

社会で活躍する力と「非認知能力」
~海陽中等教育学校/西村英明先生~

西村先生はDiscoveRe Method®の導入背景からお話しくださいました。
「将来の日本を牽引する人材の不足」に対する危機感から海陽中等教育学校は設立されました。社会で活躍する力をつける教育が必要という考えから、全寮制中高一貫校となったそうです。
社会で活躍するための力とは、つまりは非認知能力(対人能力、問題解決力、自己管理能力)です。さらには、人間力とは、学力+社会で活躍するための力+志であると、西村先生は言います。
全寮制の豊かな取り組みによって人間力の育成は成果を出せているはずでしたが、一方で非認知能力のアセスメントに課題を感じていました。そこでDiscoveRe Method®を導入するに至ったそうです。
海陽中等教育学校では、DiscoveRe Method®とは、一連のサイクル(アセスメント・座学・実践・振り返り)であると定義付けました。
活用にあたって、海陽版行動マーカーの選定、全寮制の特徴を活かしたプログラム、振り返りシートの確立、評価方法の確立が検討されました。
実際に海陽中等教育学校では、行動マーカーを以下の通りに決めました。
1年生<基礎>:自己管理・チームワークと集団行動
2・3年生<訓練>:コミュニケーション・リーダーシップ・状況認識
4・5・6年生<応用>:対人コンフリクト・異文化理解・意思決定と問題解決
振り返りシートでは、行動・経験・内省・抽象化のサイクルを意識されています。
また評価においては、行動マーカー評価であったり、DiscoveRe Method®の自己分析シートを活用したり、教職員からのフィードバック等を行っています。
学校としては、学園生活全体で常に行動マーカーを意識して行動し、振り返りができることをゴールとして掲げられています。
そのためには学園の文化としての定着化、教職員の意識改革が必要であると、西村先生はお話しくださいました。

最後に

社会で活躍する人材の育成において、非認知能力は重要であると、改めて認識することができました。とはいえ、なかなか非認知能力をどう育成していけばいいのかわからないとお悩みの方も多いと思います。
今回のセミナーでより具体的なイメージがつき、非常に参考になりました。これからの時代、非認知能力はさらなる注目を浴びていくことになるのではと感じました。

ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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