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小論文添削にAIは使える?学びの質を高める実践モデル|AI時代の教員が知っておきたいこと(2)

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2026/01/31

前回の記事では、AIが日常生活に浸透する一方で、教育現場では「何のために、どのように使うのか」という目的や、具体的なプロセスについての共通認識が十分に共有されていない現状を概観しました。

では、教育現場で共有されるべき目的や活用プロセスとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。西本先生が開発に携わったAI教材「AI添削トレーニング」の実践事例をサンプルに、AI活用の本質に迫ります。

個別最適化は本当に教員の負担を減らせるのか|
現場が抱えるジレンマ

西本先生は、「(判断や結論をAIに委ねるものではなく)思考を整理・深化させるための相談相手」としてのAIの存在に着目します。AI活用は大きく「校務での実践」「授業での実践」に分けられますが、仮に校務であれば「授業計画の素案を作らせる」、あるいは「授業案の改善点などを指摘させ、ブラッシュアップする」という使い方ができるでしょう。

「授業での実践」であれば、探究性の強い学び――単に正解を教えてもらうのではなく、何らかのテーマに対して生徒が自分の感想や仮説・考察を述べ、生成AIにフィードバックを求めるという使い方も可能です。

通常、生徒の意見や発想に個別対応しようと思えば、教員の物理的・時間的負担は非常に重くなります。「生徒のため」という思いから無理をするケースも多く、ひいてはそれが、教員が疲弊する一因にもなっていました。つまり、時代は「学びの個別最適化」の重要性を叫ぶ一方で、その負担は現場の教員に背負わせているとも言えます。

小論文添削をAIに任せると何が変わるのか|
時間と質の両立モデル

そうした負担の一つに、小論文などの文章指導における「添削」があります。西本先生も、「添削の苦労は痛いほどわかる」と強く共感を示します。
添削をしていると、多くの教員が必ずぶつかるのが、「フィードバックに時間が掛かる」という即時性の問題です。講座を受け持ち、生徒が何十人といるなかで、彼らの書いた答案のすべてに丁寧な添削コメントを返そうとすれば、業務量は一気に跳ね上がります。結果として返却が遅れ、返ってきた頃には、何を書いたか生徒自身が覚えていない——。経験のある先生なら、思わずうなずいてしまう「添削あるある」ではないでしょうか。

そこでAIを活用します。小論文で基礎として押さえておくべき技術や作法を学習したAI教材に、初期の添削をさせます。そして添削コメントをもとに書き直した小論文を再度AIが添削……というラリーを何度か繰り返します。最終的には生身の先生による添削は必要ですが、それまでに基本的な枠組みができているため、より内容面に踏み込んだ高いレベルでの添削ができるようになります。

なぜ「思考は教員・添削はAI」
という役割分担が機能するのか

今回、西本先生が開発に携わった「AI添削トレーニング」(提供:エデュケーショナルネットワーク)は、小論文指導の現場で数多くの答案を見てきた経験をもとに、「どこを見るのか」「どの程度書けていれば及第点と言えるのか」といった評価の視点や到達目標をルーブリックとして整理・体系化し、それをもとにAIがフィードバックを行う教材として設計されています。そのため、「目的と使い方が明確で、現場ですぐに試せる」点は、教員がAIを使い始めるうえで、敷居を下げる効果があると言えるでしょう。

現場では、生徒との対話を軸に授業が進められています。テーマに対する意見形成や論拠づくりには教員が関わり、小論文として書き上げたあとの添削はAIが担います。教員はAIによる添削結果をもとに、よくあるミスや全体的な傾向をフィードバックし、指導に生かしていきます。教員による「思考を引き出す対話」と、AIに任せられる「時間と労力のかかる添削作業」を明確に棲み分けることで、授業全体の質を高めているのです。

添削業務に追われることで失われてきたもの|
教員の本来の役割

他にも、小論文指導にAIを活用する利点があります。たとえば、一般的な小論文講座では、添削時間を設けるためにどうしても次の講座まで日を空けざるを得ないことが難点でした。実際、ある学校では教員が疲労困憊のなかで添削を進めていたり、ある予備校では添削専門スタッフが5~6人常駐して待機していたりするなど、人的リソースで何とか支えている現場も少なくありません。

個別最適な学びを実現しようとするほど、教員は答案の添削に追われ、生徒一人ひとりの表情や思考の変化に目を向ける余裕を失ってしまう——この構造に問題があると、西本先生は指摘します。

AI活用で教員の仕事はどう変わるのか|
現場に明るさを取り戻す視点

AIは、そうした矛盾や負担から教員を解放してくれる存在です。疲れ知らずで、添削クオリティにぶれもなく、すぐにフィードバックを返してくれますから、講座の間隔を空ける必要もありません。生徒の学習記憶が明瞭なうちに添削を戻せるのは、学習効率としても効果的でしょう。そして何より、生徒に向き合う時間を取り戻すことができます。

AIと聞くと、教育を変える未知のテクノロジーとして、センセーショナルに受け止められがちです。しかし西本先生は、「AIが教育を変えるというよりも、教員のあり方や生徒との関わり方が問い直されていくのではないか。AIはその過程を支えるパートナーの一つ」と語ります。学びの主体は、やはり生徒自身と、そこに伴走する教員であるということでしょう。

では、教員はAIとどのようなパートナーシップを築くべきでしょうか。最終回となる次回、AI時代に求められる教員としてのスキルやマインドについて、さらに考えてみたいと思います。

続きを読む→教員の仕事はAIに奪われるのか? AI時代に変わる教員の役割とは|AI時代の教員が知っておきたいこと(3)


(記事監修)西本裕樹(にしもと ゆうき)
Z会グループオーダー講座講師。主に小論文・志望理由書・探究領域の指導を担当。高校・大学、予備校などで教壇に立ち、「学びのデザイン」と「個性の言語化」を軸に多様な教育現場に関わっている。また、教材開発やクリエイティブワークショップの設計・運営を行うPLAYFUL POCKETの代表として、学びや表現の新しい形を発信。AI活用にも積極的に取り組み、エデュケーショナルネットワークと協働してAI教材「AI添削トレーニング」の開発に携わった。


(筆者)松見敬彦(まつみ たかひこ)
ライティングオフィス・トリガーワークス主宰。教育業界を中心に寄稿やコピーライティングを手掛けるフリーライター。主体性なく自堕落な若者時代を過ごした反省から、教育の価値や可能性を痛感、ペンの世界で教育への貢献を志す。高校改革を軸とした地方創生ムーブメント「高校魅力化プロジェクト」にも参画し、大学入試の志望理由書や小論文、キャリア教育の外部講師なども務める。広島県出身、大学進学に伴って長らく大阪で暮らしたのち、宇治茶の最大産地でもある京都府和束町にイナカ移住。妻と、特別養子縁組で迎えた息子の3人家族。

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