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コラム

オンライン授業⑪教育×ICTが進む現場で、これからの教員に求められるスキル

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2021/04/23

これまで10回にわたって、オンライン授業を中心とした学校のICT化にまつわる情報をお届けしてきた当コラム企画。今回は一区切りとして、これからますます進んでいくであろうICT利活用と、教育の在り方について総括したいと思います。デジタル社会の学校現場で、教員に求められる素養や指導技術とは何でしょうか。学校の情報教育(技術科・情報科)の現状や課題をふまえつつ、一緒に考えてみましょう。

授業のオンライン化が進むも、教員の技術に差

コロナ過が引き起こした全国一斉休校により、図らずも浸透を見せたオンライン授業。特に私学では以前からICTへの積極投資を進めていた学校が多く、比較的早期にオンライン化に対応できたようです。もちろん、それでも現場は試行錯誤の連続でした。何とか子どもたちの学びを止めないよう奮闘された先生方の努力と工夫には頭が下がります。

しかし制度上の問題で、海外との比較ではその後塵を拝していたのも事実です。加えて課題となったのは、先生方のスキルでした。オンライン授業をやりたくても、ICTリテラシーが追いついていない面があったのです。

長らく日本の学校は、教室で対面式、かつトーク&チョークを基本として成り立っていました。デジタルが苦手な先生も当然おられます。そこでいきなり「オンラインで授業をしてください」「ICTをフル活用してください」と言われても、戸惑うのは仕方ない面もあったことでしょう。

国是レベルで進む情報教育のレベルアップ

一方で、今後はそうも言っていられなくなりそうな雰囲気です。GIGAスクール構想など、教育現場のICT化はもはや止められない時代の要望となってきました。さらに、教育コンテンツそのものも、情報教育の充実を図る方向で大きく変わりつつあります。

特に注目すべきは、学習指導要領の改訂。2021年度から中学校で、きたる2022年度からは高校で、小学校ではすでに2020年度から、新しい指導要領のもとで授業が展開されています。その中でキーワードとなるのが、プログラミングの必履修化を始めとする情報系科目(中学校:技術科、高校:情報科。小学校は他教科の中で「プログラミング的思考」を学ぶことが目的であり、教科としての設定はなし)への注力です。

特に高校では、従来の「社会と情報」「情報の科学」が統合され、新しく「情報Ⅰ」として再構築・必履修化されます。この中で、プログラミングやデータベースを設計段階から利活用まで含めて学んでいくのです。それに連動して、高校でこのレベルを学べるだけの基礎力を身に付けるため、中学のうちに簡単なロボットプログラミング(ものを運んだり、線を辿って自立移動するロボットを作る)ができるところまでは持っていく計画です。


新学習指導要領でプログラミングが必履修化

いよいよ大学入試にまで「情報」を採用

ここから鑑みるに、プログラミングやデータサイエンスは、もはや一部の人たちだけが持つ特殊技能ではなくなってきたと言えるでしょう。世界的にもSTEAM教育(スティーム教育。科学:Science、技術:Technology、工学:Engineering、アート:Art、数学:Mathematicsという、理数教育と創造性教育を複合的に学ぶ概念)の重要性が叫ばれる中、「読み書きそろばん」と同レベルの基本リテラシーとしていくことを目指す、文科省の強い意志が読み取れます。


小中から大学まで一貫した情報リテラシー教育のビジョン(出典:内閣府 総合科学技術・イノベーション会議)

さらに、大学入学共通テストへの情報科目の採用が正式に発表され、この流れが決定的になりました。大学入試センターはその試作問題を発表していますが、「情報Ⅰ」の内容をきちんと履修していないと解けないレベルの問題でした。


大学入試センターが公表した「情報」の試作問題(出典:情報処理学会

もう「苦手だから」とは言っていられない

つまり、これから子どもたちはかなりハイレベルな情報教育を受けるということです。それに当たって、先生方がその指導技術を持ち合わせないのは大きな問題と言えるでしょう。

「それは技術科・情報科の話であって、他教科には関係ないでしょう?」と思われるかもしれません。確かに、すべての先生がプログラミングを教えるわけでないのは事実です。しかし、技術科や情報科の専任教員は他教科と比べて非常に少ないのをご存知でしょうか。

公立校を対象にした文科省の調査(2013年)によると、高校情報科の専任率は全国平均で20%程度、新規採用率に至っては全教員のわずか0.68%ほどとなっています。実質上、専門外である他教科の先生が特例的に技術科・情報科を教えている学校が多数派なのです。中には、体育の先生が技術科を教えている、というケースも見られます。

技術科・情報科の教員不足はまた別の問題であるためここでは論じませんが、プログラミングを教える立場になる可能性は、どの先生にもあるということです。仮に教えないとしても、生徒たちは遅かれ早かれこのレベルの情報リテラシーを持ちます。それに対し、いつまでも先生側が「ICTは苦手だから」と避けているのは望ましい形ではありません。

それが子どもたちのためになるならば

こうした状況を見るに、先生方が、全体的に情報(ICT)リテラシーを高めていくのは必須であると言えそうです。オンライン授業ももちろんその一部です。

何であれ、技術の研鑽は努力と苦労を伴いますが、ICTによって子どもたちの学びの選択肢は格段に上昇しています。「子どもたちのために」のひとことを原動力にできるのは、「先生」と呼ばれる職業の醍醐味の一つです(もちろん、働き方改革は進めるべきですが)。教育の受益者は子どもたちと社会であるという原理原則に立ち返り、「次世代の教育」へとシフトするときが来ているのかもしれません。


情報リテラシーは教員も必須の時代へ

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