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コラム

オンライン授業④ コロナ下でのオンライン授業 日本と海外、何が違った!?

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新型コロナウイルスの感染拡大による学校の休業と、それに端を発したオンライン授業の実践。わずか数カ月で、教育関係者以外にもその存在や運用が注目されるようになりました。もちろんそれは、日本国内だけの現象ではありません。世界中の学校現場で、この未曾有の教育危機への緊急対応が求められたのです。しかし、その対応は国によって違いがあります。日本との比較も織り交ぜつつ、まずは背景となる全体像や課題を検証していきます。

いち早く休校に踏み切り、インターネット普及率も高かったのに

国連(ユネスコ)の調査によると、国内全域レベルでの休校措置に踏み切った国と地域は188。約15.7億人、世界のおよそ9割の子どもたちが学校に通えないという、前代未聞の事態に陥りました。

世界の休校状況 ピンク:地域を限定して休校 紫:全国で休校(出典:UNESCO 2020年3月18日)

こうした中で始まった世界規模でのオンライン授業の活用ですが、手探りなのはどの国でも同じ。世界中の先生たちが悪戦苦闘しながらも、オンラインを活用して何とか子どもたちに学びを届けようとしています。
しかし、諸外国と比べて日本が決定的に違ったのは、そのスピード感や実施率。
ここにおいて我が国は、明らかな遅れが目立ちました。一部の私学は4月の新学期開始と同時にオンラインへと移行しましたが、ほとんどの学校では紙媒体で課題を配るのが精いっぱい。結局、オンライン授業が1度も実施されないまま、6月の休校解除を迎えた学校も少なくなかったのです。

オンライン授業の実施においてどの国でも課題となったのは、各家庭のインターネット環境。オンライン授業を受けたくても受けられない家庭もある、ということです。
しかし、日本のインターネット普及率は約91.3%で、世界第23位。対してアメリカは約87.5%(同34位)、イギリスで94.9%(同16位)、ドイツが約89.7%(同27位)です。データからは、他国と比べても決して見劣りしない傾向が見て取れます。

世界のインターネット普及率(出典:ITU International Telecommunication Union)

加えて、日本では3月2日からの休校要請が出ましたが、欧米各国のそれは3月中旬~下旬ごろ。つまり、休校に踏み切ったのは日本のほうが早く、かつインフラ環境も恵まれているにもかかわらず、オンライン授業の実施については完全に後手に回った形です。

もちろん、オンライン授業の実施だけが絶対的な正解ではありません。実施できないならできないなりに、すべての先生たちが創意工夫でこの難局に立ち向かっておられます。しかし、なぜこのような差が出てしまったのでしょうか。

オンライン実施を阻む「標準授業時数」と「単位」のカベ

最も強く影響したのは、文部科学省の省令である「学校教育法施行規則」。これによると、何らかの教育活動を標準授業時数(小中学校で年間に行うべき授業時間数)としてカウントするには、「教師が生徒を指導できる状況にあり、教室にいること」を原則としています。つまり「教師と生徒が同じ空間にいるのが授業である」という解釈であり、オンライン授業は標準授業時数として認定されません。先生と生徒がオンラインで繫がって授業をしただけでは、何時間やろうと、あくまで「家庭学習の延長」と見なされるのです。

日本の小中学校の授業時数

高校では「授業時数」ではなく「単位」で授業数をカウントしますが、卒業までに必要な74単位のうち、オンライン授業で単位認定できるのは36単位まで。仮にオンラインで授業を実施する場合でも、「対面授業と同等の教育効果を有すると認める」ものに限り、かつ「別途、対面で授業内容を補う」と指示されています。やはり、常に何らかの形で「対面式」という条件が付いてまわり、オンライン単体で授業を行っただけでは、授業と見なされないということです。

一方で海外では、対面式が授業の必須条件になっていないか、なっていたとしても柔軟に対応しやすい制度になっているのが特徴です。たとえばイギリスでは、必要な授業時数を学校ごとに判断していいことになっています。アメリカでは対面を前提とした必要授業日数が定められていますが、そこに届かなくても結果(成績)さえ伴えば進級は可能です。

オンライン授業の実施が進まない要因として、インフラや端末の整備不足、ノウハウ不足ばかりが指摘されがちですが、それ以前に、こうした縛りが自治体や学校に二の足を踏ませた原因と言えなくもありません。この現状を問題視する声は多く、高校生からも「オンライン授業を上限なく単位認定してほしい」と署名運動が起こったほどでした。

喉元を過ぎた熱さを忘れるのか、今後の糧とするのか

しかし、明るい兆しもあります。4月14日に行われた文部科学大臣の会見で、「学習内容の定着を評価できれば、対面授業は不要」という特例を認めたのです。つまり、必要な学習内容の定着さえ確認できれば、授業の方法は問わないという意味。方法は問わないわけですから、オンライン授業はもちろん、プリントの配布などによる家庭学習もこれに含まれます。

評価の方法も、各学校や自治体に委ねられました。何らかの試験を実施してもいいし、その他の方法でも良いということです。おそらく今後の課題は「どのように評価するか」へと移っていくでしょう。

こうなると「オンライン授業は必要ないのでは?」という考えも浮かびますが、そうとは言えません。授業の方法を問わないからこそ、オンライン授業を受けられる生徒と、そうでない生徒の間に確実な格差が生まれるからです。Google Classroomなどを使って、授業だけでなく評価や課題提出も行える学校と、ひたすら郵送ベースの宿題プリントやテストを行うばかりの学校では、学習密度の差は明らかです。「オンラインでなくとも良い」という選択肢があるがゆえに、ますますオンライン授業が必要とされる方向へ向かっていくものと予測できます。

日本では、緊急事態宣言の解除に伴い段階的に休校措置が解除され、教室に子どもたちの姿やにぎわいが戻りつつあります。しかし、コロナウイルスの危険が去ったわけではありません。今後、長いスパンで考えても再びコロナ以外のパンデミックが起こる可能性だって十分あります。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉がありますが、「コロナ騒動が落ち着いてきたから、オンラインもこれでおしまい」と考えるのか、今後も活用を進めるべき「新たな教育手段」の一つとして考えるのかの差は大きいです。現状維持を良しとするのか、それとも前へ進むのか。私たちに今、その選択が突き付けられています。

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